eEichi Creates Inc 萩本英二オフィシャルサイト お問い合わせ
ホーム
プロフィール
コンサル事例
よくある質問
ご意見・ご質問
知財講座
リンク集
知財講座
第3回 商品の変遷

前回の疑問を考えて、達した結論は次のようなものです。即ち、利益の源泉たる商品には階層があるということです。図を見てください。商品をその属性でみると少なくとも三つの階層から構成され、底辺がハードウエア、その上にソフトウエア、そして天辺にサービス(ソリューションやノウハウ)といった知識が君臨しています。これが商品の中身の「ワンセット」です。時代は、この階層を下から上に移動したことになります。この階層の存在は、おそらく昔からあって潜在していたのですが、時代がそれを顕在化させました。

商品の中身

商品の中身

アップルのiPodを例に、この階層構造を説明して見ましょう。ハードウエアの領域には、HDDやフラッシュメモリがあります。彼らは自社開発でなく、アウトソースして調達しました。ソフトウエアには標準品として音楽圧縮ソフトMP3を採用して汎用性を持たせています。ここに標準品を採用したことは大きな意味があります。音楽ソフトを提供する企業が参入しやすくなります。似た製品を売ろうとした他社は、独自のソフトを作り、使用は自由ではありませんでした。その結果、参入障壁ができて広がりませんでした。アップルは更にトップに音楽配信のシステムを構築して、「商品」=iPod全体でビジネスを行っています。このトップ領域の属性(ビジネスモデル)で稼ぐことを狙ったのでしょう。粗利益率は55%と新聞報道にありました。アイデアや知恵がビジネスになる典型例です。

入社した頃、原価率6割で設計しろといわれたことがありましたが、以後それを達成することは簡単でなかった記憶があります。それどころか多くの製造業界で粗利益が低すぎて利益がでないことは珍しくありません。

 この図の特徴は、階層になっているので、各々の領域で各企業が専門企業として存続できるということです。自社だけで完結するシステムは投資も莫大となりがちで、成功すれば利益は大きいのですが、反面失敗した場合のリスクもまた大きなものがあります。製造業で水平分業が言われて久しいですが、ビジネス全般では、垂直分業の方が一般的です。いわゆる元請や下請けの関係はその代表例です。ゲーム産業は、前出のiPodと同様な分業体制になっています。ゲームを売る企業をトップに、ゲームソフトを提供する企業、ハード機器を提供する企業が図のような一つの商品に含まれています。

 こうした商品の属性を考えずに、ただ企業買収でグループを大きくしただけでは、各々の領域の相乗効果は得られず、利益が総和以上に大きくなりません。いわゆるコングロマリットデスカウントです。老舗の歴史をみると本業を守ることが必要といわれています。しかし、従来からの内容に固執していると、時代の波に飲まれてしまいます。やはり製造業なら製造技術を活かす様々なソフトウエア(工夫)やそれらをビジネスに統合するビジネスモデルを編み出さないといけません。この図はそういっているように見えます。

 求められている企業はなんでもやる百貨店ではありません、専門店です。何でもあるという事は、欲しいものが何にもないと同じになりかねないのです。専門店を建屋内に加えてきたリアルなデパートですが、楽天などの電子モールと機能は同じです。経営ノウハウを提供するのと場を貸すだけではどちらの方が利益率が大きいか分かりますね。

もはや日本国内の製造業のGDPに占める割合は、25%に低下しており、他の領域が大きく伸びています。他の領域に、是非この製造業を活かすソフトウエア(工夫)を提供する企業やソルーションとしてビジネスモデルを提案する企業がたくさんあってほしいものです。


<<●第二回へ ●第四回へ>>



copyright(C)E.Hagimoto. All rights reserved.