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第4回 知的財産権との対応

商品が知的財産たる技術の成果物と考えるなら、それにも対応する法制も容易に思い当たることでしょう。
図
図の様にハードウエアに強い特許権や物品の美的外観に係る意匠権、ソフトウエアに係わるプログラムなどの著作権やIC回路の配置権、それにソルーションとして秘匿することで守るノウハウやサービスマークなどの商標権による保護とが対照されます。営業秘密は権利ではないですが、不公正に侵害されたときには法的保護が得られます。

ハード資産は、有形であり技術的アイデアも比較的容易に把握できます。従って他人の真似による損失を回避するために、特許化することは有効でした。一方、ソフト資産は、無形で気がつかねば無いも同然です。プログラムでは、技術的・機能的な「アイデア」を特許権で、プログラムや文書などの「表現」は著作権で、使い方などの「ソリューション、ノウハウ」は秘密保持を破られないような仕組みを考えて保護するという3通りの保護形態があり得ます。一つの権利保護を受けたら他の保護は受けられないというものでもありません。ですから、商品の機能、特性を考えて、重層的な保護、特にソフト資産は模倣に弱く容易に毀損されやすいのですから、資産の形態に合わせ、保護形態を考えることです。

即ち、前記3通りの主な権利、特許権、著作権、営業秘密(不正競争防止法)による保護を主なる保護とすると、その周辺には、主な権利を組み合わせた相互効果による保護の裾野を形成するのです。特許権と著作権、著作権とノウハウ、特許権とノウハウといった保護内容の異なった組合せによる重層的な保護も使うのです。この保護形態の選択にあたっては、強力な権利だが公開が前提の特許権と、非公開でもいい著作権や完全な秘密状態を保つべき営業秘密による保護との使い分け、即ち、自社事業の形態に応じて公開で得られるものと失うものを比較考量した選択が重要になります。

自動車の例で見てみましょう。昔自動車は機械の塊でした。今やエンジン制御、燃料制御等でメカトロの塊になっており、200mmφのウエハ面積に相当するデバイスが使われています。個数でみれば100個単位で使われていて、半導体デバイスやソフト関連の費用がコストの過半に迫ります。例えばカーブにおける姿勢制御を考えれば、センサーで加速度を検知してマイコンに伝え、マイコンは制御に必要な情報を機械系に送り駆動します。瞬時に行うためには、ハード系の優秀さだけではなく、高性能マイコンやそれを駆動するソフトとの協働があって初めて実現します。今後電気自動車の時代になれば、もはやハードとソフトの協働は当たり前になります。そしてそうした商品を提案するソルーションビジネスが付随していないといくらハード資産やソフト資産の付加価値が高いとはいえ、もっともおいしい知恵による付加価値は他の企業に取られてしまいます。世界の製造工場である中国、依然として世界をリードする米国、この間にある日本の強みは、ハードウエア。しかし、それにソフトウエアを組み合わせる、ソルーションを組み合わせることで商品の付加価値を高くする、製品で言えば、量による民生品よりも質を問う工業品を作るように知恵を働かして物を作っていかないと中途半端になって埋没してしまうでしょう。

  時代は変わり21世紀となり、大量生産・大量消費を前提とした20世紀の製造事業形態はそのままでは存続できないのではないでしょうか。今はまるで津波のような金融危機が発生して世界中が混乱していますが、この混乱を経て初めて本当の21世紀の姿が見えてくるように思います。


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